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日本図書館研究会研究例会(第265回)報告


日時:
2009年9月24日(木))18:00〜19:30
会場:
大阪府立中之島図書館ふれあいルーム
発表者 :
志保田務氏(日本図書館協会図書館学教育部会長)
テーマ :
大学における図書館学省令科目改定(新策定)について
参加者:
13名

 現在,日本図書館協会図書館学教育部会長であり,文部科学省「これからの図書館の在り方検討協力者会議」のメンバーである志保田氏が,上記のテーマで発表した。

 はじめに,ここ数年の司書養成をめぐる一連のうごきについて,教育基本法改正(2006.12),社会教育関連法規(社会教育法・図書館法・博物館法)改正(2008.6),図書館法施行規則最新改正(2009.4)などを時系列にそって紹介し,文部科学省が実施したパブリックコメント(2009.1,2009.4),改正司書養成科目に関する説明会(東京・大阪:2009.6),改正司書養成科目に関するQ&A(2009.7),についてもふれた。

 志保田氏が2005年度より部会長となっている,日本図書館協会図書館学教育部会の取り組みについては,年度ごとに状況を説明した。2005年以来,教育部会としては,

の三点をポイントに活動をすすめてきた。Aについては,大学院における図書館学教育を視野に入れて検討していたが,その途上で,当初は必ずしも見通しがはっきりしてはいなかった「図書館法改正」が,教育基本法改正をうけるかたちで浮上し,司書養成に関する省令科目の改定を検討することになった。2007年からは,大学における科目構成について,講習科目との関係をどう位置づけるか,科目名をどうするか,単位数をどの程度増加させるか,などの方向から継続して検討してきた。Bについては,日本図書館協会専門職員制度特別検討チームが「(仮称)上級職員認定予備審査」を実施しており,教育部会で開催する研修会に同チームから講師を迎えて,実際に図書館に就職した人たちへのフォローとなるようなかたちを考えてきている。Cでは,たとえば,省令科目の単位数増加について,日本図書館協会を構成する関係諸機関と調整を考える必要があり,司書講習について,大学における科目と講習科目は同一資格内格差を生まないように,という協会常務理事会の意向と同じ内容で調整した。また,司書課程を設置している大学の経営サイド,図書館理事者(自治体の行政・立法関係者,大学理事者)などとの調整も必要である。

 図書館学教育部会としては,司書課程は入門課程であり,司書として働くうえでの基本的な図書館知識習得を,という理解をもとに,現時点で図書館法に示されている「司書講習科目」を土台に検討したが,現行の20単位では不十分との認識があった。ただ,単位数と時間数の関係は,特に演習科目の時間数を

のどちらで設定するかによって,今回最終案として示された24単位でも,最大:465時間 〜 最小:360時間の開きが存在すると考えられる。また,新たに設けられた「図書館実習」でも,1単位30時間または45時間いずれかの選択ができる。

 これらの点については,最終的な判断は各大学にゆだねられている。

 また,移行措置とその時期,今回の改訂で消えた「専門資料論」の扱い,「司書補」「司書教諭」など「司書」に隣接した資格との関係,などについても言及があった。

 会場からの質問としては,前回(1996年)の改訂論議の際との相違について,「司書」資格のあり方の今後考えられる望ましい方向性について,などの点に関するものがあった。

(文責:佐藤毅彦 甲南女子大学)