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日本図書館研究会研究例会(第309回)報告


日時:
2014年11月15日(土)10:30〜12:30
会場:
大阪府立中之島図書館別館2階
テーマ :
増える図書資料にどんな手を打つか:保存と開架
発表者 :
坂口勝春氏(アジア図書館)
参加者:
15名

 アジア図書館における蔵書の増加と保存を巡り,沿革と今後を考察した。今般の研究例会は,日図研資料保存研究グループおよび大阪府立中之島図書館に拠る「図書館を学ぶ相互講座」の共催で開催した。

〔1〕「私たちはアジアを知らない」に始まる

 「私たちはアジアを知らない」を自認し,1981年,アジアの学習・情報センターとしての「アジア図書館づくり」と,人と文化の交流センター「アジア会館づくり」を一体とした創設の呼びかけを始めた。

〔2〕本を集め続けた33年間の活動(1981〜2014年)

 本集めが1番日,賛同者の人集めが2番目,3番目が資金集めであるという方針であった。1981年,3千冊の蔵書からアジア図書館づくりがスター卜した。
 2014年現在,蔵書50万冊。40万冊は整理し,ラベル表示した。内訳は,日本語図書35万冊,外国語図書5万冊。文化圏・言語は中国語,ハングル(韓国・朝鮮語),タイ語,ロシア語,英語などである。日本語書きの蔵書目録は第3集25万冊をCD化した。
 閲覧貸出は会員制,現在は5万冊まで利用可能。このほか整理できていない本が10万冊である。
 寄贈本は年々増加し,近来は統廃合による学校図書館蔵書,会社,新聞社,団体図書室の整理処分等,大口化してきた。次の目標は100万冊である。さらにアジア研究者,専門家の高齢化に伴う寄贈増大と,アジア系人の定住と図書館利用の増加が見込まれる。

〔3〕資料の増加と書庫スペース確保の戦い

 100万冊収容できる本格的施設をめざした建設プロジェクトに取り組んでいる。資金づくりも大きな難関である。会員増強策による資金確保,新書庫のため廃校学舎利用など,行政交渉もしている。

〔4〕まとめに代えて

 アジア図書館は,現代と将来を見つめ,図書館人とともに「多文化」に対処するために,関係資料の収集とその利用展開に邁進する所存である。

(文責:中村恵信 神戸松蔭女子学院大学)