TOP > 『図書館界』 > 65巻 > 3号 > / Last update: 2013.9.2
本稿は,反ユダヤ主義に基づいた「ホロコースト否定文献」の図書館での扱いについて考察する。まずカリフォルニア州図書館協会が1983年に経験した事件で,ホロコースト否定論者デイヴィッド・マッカルデンの表現の自由を認め,年次大会に参加を認めたことから,図書館の「ホロコースト否定論」の対応が論争となった事件を考察する。ここでは協会の内部対応に焦点をあて,聞き取り調査と第1次資料によって検証した。さらにアメリカ図書館協会の人種偏見・人種差別の方針の変遷を分析した上で,この事件が図書館の対応や方針策定に示唆するものを考察する。
(あさと のりこ ハワイ大学)