《座標》『図書館界』48巻6号 (March 1997)


50周年とこれからの日図研

川崎 良孝

1946年11月に創立した本会は昨年11月に50周年を迎え,神戸国際会議場で記念研究大会・記念式典を実施した。参加者は予想を大幅に上回り332名,レセプションは177名であった。会員規模1,000名という団体にあって,3割以上の会員の参加はすばらしいと思う。50周年事業の実施にあたっては,『日本図書館研究会の50年』の刊行,大会・記念式典の開催,全国規模の図書館調査の実施を3本柱とした。これらは単なる50周年の「行事」というだけでなく,日図研の研究・活動,あるいは存在そのものを一人でも多くの人びとに知ってもらうという意味で,本会として大きな「活動」であり「運動」であった。50年史の作成に参加していただいた会員,図書館調査に協力していただいた図書館や図書館員,もちろん大会当日に参加していただいた方々に,あらためてお礼申し上げたい。

あたかも50年を一つの区切りとするかのように,例えば図書館を取り巻く状況は人の問題を中心に厳しさを増し,情報環境は劇的に変化しつつある。こうした中で,本会の研究や活動にも新たな活力と展望が必要とされる。変化への対応に関して,歴史ある団体は組織,思想,活動といった面で遅れる場合がある。こうした事態になってはならない。

研究活動については,本会の特徴であるグループ研究の強みを今後も育てていきたい。新たにマルチメディアのグループができたが,例えばデータベースを研究するグループがあってもよいし,一つの大きなテーマを2・3年で仕上げて解散するといったグループがあってもよい。研究例会は検討する時期にきているかもしれない。例会を「維持」するために研究委員会がエネルギーの多くをさくようになってきているのではないか。気になるところである。研究大会のシンポジウムについていえば,この場を一つの主張の場とするのか,諸論を並列的に提出してパネラーとフロアーが一体となって議論するのかという問題,ようするにシンポジウムについての基本方針も検討する必要があるかもしれない。

50周年を起点に毎年の事業として位置づけたブロック・セミナーは,会員からテーマおよび具体的な講師の人選も含めた開催要求があり,うれしいかぎりである。この企画はブロックからの申し出に基づいて成立するもので,関心がある会員は各ブロックの評議員,ブロック担当理事,あるいは事務局に遠慮なく連絡していただきたい。

いうまでもなく『図書館界』は研究活動の成果を示す最も重要な媒体である。 『界』のあり方については1月発行の『界』で議論されており,重複は避けたい。ただ館種を超えてという特徴,および現場と教員がごったになっているという日図研の特徴を,誌面構成の上で強さと活力の源泉にできるようにしたい。学校図書館の運動は他の館種にも参考になるし,公立図書館の利用者サービス,大学図書館での情報ネットワークなども同様である。また例えば情報環境の変化はあらためて「図書館とは」ということを問いかけている。こうした中で,日図研および『界』は,その特徴を強さと活力の源にできるし,そうでなくてはならないと考えている。

学情センターを利用してのホームページの作成は,具体的な準備がととのいオープンする状態になっている。さらに学情センターは1997年度から電子ジャーナルのサービスを実施する。こうしたサービスに参加するか否か,あるいはいつ参加するかはともかく,編集委員会に学習と検討をお願いしている。

筆者が考えていることの一端を示したのだが,会員もさまざまな考えや意見をお持ちだと思う。それらを積極的に伝えていただくと幸いである。そうした意見を具体化できるか否かはともかく,担当する委員会なり理事が検討するのは確かであり,会員からのインプットは従来からも非常に重視している。

塩見理事長は『日本図書館研究会の50年』のはしがきの中で,「科学的,実証的な理論と実践の追求により,当面する諸課題に鋭く切り込み,図書館の明日を拓く活動を,50年を機に一層強力に推進することに努めたいものである」とまとめている。この言を現実化したいと思う。それには50年の伝統と共に,新たなエネルギーが必要であり,そうしたエネルギーの源はわれわれ一人一人の会員にほかならない。
今後とも会員のいっそうの協力とお力添えを切にお願いしたい。

   (かわさき よしたか 本会事務局長)