《座標》『図書館界』50巻1号 (May 1998)


50巻を迎える『図書館界』

川崎 良孝

日図研創立50周年を記念して刊行した『日本図書館研究会の50年』に詳しく記されているように、本会の創立は終戦直後の1946年11月23日で、『図書館界』第1巻第1号の発刊は翌1947年5月25日である。巻頭論文は仙田正雄「アメリカ議院図書館雑記」で、1号の頁数は24頁であった。
その後、第1巻第2号の刊行は1949年6月、実に2年間の空白があったのである。その後も印刷所を変えるとか、発行者・発行所をどうするかといった問題、さらには『界』を出す資金の問題など、問題は山積していた。
当時の記録を読み返すと先輩たちのなみなみならぬ努力が伝わってくるし、その一端は『50年』史の高橋重臣元事務局長の回顧からもうかがわれる。

ところで現在のように隔月刊となったのは1954年の第6巻第1号からで、1998年度になって『界』は第50巻を迎えることになった。
単に年月を重ねるだけでは意味があるとは思わないが、日図研の個人会員、研究グループなどの全活動の成果が『界』に集約され、いずれもさまざまな研究、実践、運動の場で、引用、適用、言及されていることは、本会の厚みと力量を示すものであり喜ばしいと思う。また最近をかい間みても、多文化サービス、司書養成教育については館界に先鞭をつけたり、リードしてきたと誇れるであろう。さらに例えば試行という段階にあるものの、会員からの求めに応じた『界』の点訳化も実現でき、これは学術研究団体の中では数少ない例として自負できる。

回想はこの程度で十分だろう。
ところで編集委員会の積極的な企画提案を受けて、日図研では『界』50巻を節目と考え、二つの企画を実行することになった。
一つは「『界』と私」というタイトルで、50巻6号まで毎回数名の会員の短文を『界』に掲載する。こうした企画の場合、多分に回想エッセイになりがちである。そうしたものを否定するわけではないが、むしろ『界』への具体的な前向きの提案や構想、さらには辛口の批評といったものがあってよいし、少なくとも筆者はそうした内容の短文を大いに期待している。その場合、提案や批評を編集委員会が検討するのは確実であり、その中から新たな具体的企画がでてくることを願っている。
いま一つの企画は日図研個人会員の実態調査である。この調査は各会員と日図研、『界』とのかかわりを明らかにし、今後の会の運営や『界』の編集方針に反映させようとするものである。理事などと話していると、会員が相対的に高齢化しているのではないかとか、館種別の会員構成比率はどんなものだろうかといったことなど、さまざまな話しがでる。会員の実態を会員の関心の所在なども含めて客観的に把握しておくことは、実質的な運営を任されている理事会、諸委員会にとって重要なことであり、それはまた会員の実態や関心にあわせた的確な企画や活動となって具体的な形で成果を生むことになるはずである。そのために編集委員長を軸にプロジェクトチームを構成し、具体的作業に入っている。アンケート用紙は7月上旬ころに各会員に配布する予定である。今回の調査の性格上、回収率が低いと実態調査が実態を浮き上がらすどころか、片寄った像を生じかねない。会員の皆さんに是非ともアンケートに応えてい ただきたく、お願いしたい。

会員との意志の疎通にはいくつかのルートがある。評議員会に合わせて『界』にハガキを綴じ込み、意見を求めている。また最も強力な発言の場として「エコー」欄がある。限られた時間ではあるが、評議員会では評議員から厳しい指摘をいただいたりしている。そうした手だてに加えて、日図研ホームページも活用できる。ホームページに組み込んである電子メールのアドレスは、事務局長のみに直接通じることになっている。この電子メールを利用して、忌憚のないご意見をいただくのもよい。

いうまでもなく日図研は研究大会、セミナー、研究例会など多彩な活動を展開しているのだが、会員すべてに直接結びつくのは『界』に限られる。日図研は『界』によって肯定的にも否定的にも評価される。そうした重みをいま改めて確認しつつ、50巻を一つの区切りとして、あらためてすぐれた紙面づくりに努力していきたいと考えている。

(かわさき よしたか 本会事務局長 京都大学)