《座標》『図書館界』59巻3号 (Sept., 2007)


「子ども読書活動推進計画」への期待

竹島 昭雄

 2001年に「子どもの読書活動の推進に関する法律」が制定されて以来,各自治体で「子ども読書活動推進計画」が策定されている。文部科学省の調査結果では,平成18年度末で全ての都道府県が策定し,市町村では431の自治体が策定を終え,267の自治体で作業中,策定に向けて検討中が625自治体であると報じている。

 策定の仕方には多少の違いはあろうが,一般的には学識経験者,学校教育関係者,市民活動関係者等で構成される策定委員会(以後委員会と記す)を立ち上げ,事務局作成の素案について意見交換し,3回~5回の会議でまとめられる。これをパブリックコメントにかけて,その後決定され公開されるという手順になろう。

 こうした委員会の委員を務める人から,ある会合で「公立図書館はあまりにも閉鎖的である。これでは公立図書館自体の発展も望めない」と発言されるのを聞いた。どのような経緯でこのような発言をされたかわからないが,恐らく委員会の中で公立図書館側が学校図書館への支援に消極的だったのだろう。

 確かに,今日まで学校図書館への支援に公立図書館は積極的だったかといえば,むしろは避けてきたと言われても仕方がないと思っている。学校関係者からよく求められるのは,学校又は学級単位での団体貸出である。学校図書館は,子どもたちが利用しない,魅力に乏しいからという理由で,全く当てにされていない。それどころか,蔵書の一部を学級文庫として各教室に分配し,一定期間が過ぎれば順番に他の教室の文庫と入れ替えていくところもあるという。せっかく購入した図書を何とか利用してもらいたいとの窮余の一策であろうが,学校図書館にとっては自殺行為である。そして,ここまでしなければならない学校側の事情は,気の毒なほどである。

 しかし,だからといってすんなり団体貸出に応じるべきだとは思わない。それでは,いつまでたっても学校図書館の進展につながらないからである。今日,学校図書館に必要なのは専任の専門職員であり,図書費であることは自明のことである。ここに全力を注いでもらいたいと思う。ある学校図書館の図書費は,小学校で1校当り20~30万円,中学校で40~50万円であるという。しかも,財政悪化とともに年々減額されているにも関わらず,学校や担当課から増額要求が出たとは聞かない。また,配置された司書教諭は学級担任を兼務しているため,図書費の消化さえ大変なようである。さらに,「教師にとっては,専任の司書教諭を配置するくらいなら教師を増やしてほしい,というのが現場の本音」とも聞かされた。

 このような実情にある地域の教育現場で,公立図書館が図書を援助したところで,学校図書館にどういう意味が見出せようか。公立図書館側も,学校図書館が本来の働きができることを願っている。そのためであれば支援したいし,求められれば団体貸出もするべきと考えている。しかし,それには学校図書館を発展させる道筋を示してもらわなければならない。その主体者は,学校であり担当課である。教育委員会も,主体者が示す道筋を支持・支援することによって組織的に取り組むことができる。

 策定される「子どもの読書活動推進計画」は,学校図書館の推進だけではないが,私が最も期待したいのは,学校図書館の活性化に向けた実現性ある計画である。そのために委員会に求めたいことは,全員に学校図書館の役割や機能を十分理解してもらい,学校には機能する図書館が当然備わっていなければならないことに確信を持ってもらえるようにしてほしいことである。

 もうひとつは,学校関係者や担当課が,それぞれの立場で活性化に向けて積極的に動くよう働きかけてほしい。主体者が動かなければ,外野がいくら叫んでもどうしようもないのだから。

 いずれにしても,「子どもの読書活動推進計画」が,単なる計画づくりに終わるか,学校図書館の内実ある進展につなげられるかは,委員会の在り方にかかっていると思う。そして,その中心的役割を担うのは,公立図書館の職員である。なぜなら,今日の公立図書館活動は「子どもの読書のことなら公立図書館に」と言わせる実態を作り出しているのだから。

(たけしま あきお 理事 栗東市立図書館)