2007年度図書館研究奨励賞について

図書館研究奨励賞選考委員会
委員長 柴田正美


本年度は該当論文なし

 2007年度の奨励賞対象となる論文等は,『図書館界』の2005年11月から2007年9月に発行されたものに掲載された25編です。編集委員会からの依頼原稿,シンポジウムやセミナー等での発表をもとにした原稿は除かれます。また,グループ研究を背景とした原稿も除くこととしてきました。

 25編のなかから,本研究会の理事をはじめとして,図書館活動および図書館学研究の「ベテラン」とされる人たちの原稿は対象外とします。さらに,奨励賞という性格からして,すでに「奨励賞」や「同佳作」を受賞した人たちも,同様に除外してきました。

 これらの結果,6編が今回の審査の対象となっています。

 当然のことですが,『図書館界』に掲載された論文等ですから,編集委員会による慎重・厳正な「査読」を受けたものです。研究対象への認識,研究の手法,論文としての構成,立論と適正な結論,などの学術研究雑誌掲載論文の基本的な条件は満足されているわけです。

 学術論文として十分すぎるほどに要件を満たしているものを,順位付けすることが,私たち,審査を担当するものに課されていた次第です。

 2007年度の審査には,私を責任者として全部で5人があたりました。慣例上,その方々のお名前を明らかにするわけにはゆきませんが,すべての種類の図書館について,学識・経験をお持ちの方ばかりです。2006年度とは,一部の方が交代していますので,当然,新たな視点が持ち込まれています。

 審査は,お互いの審査結果が影響を与え合わないように配慮して進められました。

 審査を進めるにあたって従来とは異なる方針を立てました。それは「奨励賞」という性格からして,これまで認めてきた「佳作」は無いだろうということです。単に「図書館研究賞」ならば「佳作」といった賞の設定もあるかと思われますが,さらなる研究の奨励を意図した点からすると適切ではないだろうと判断しました。

 また,大学院における学位取得の過程で成立した論文については「指導教員による手厚い指導」があるのが当然であり,他の論文との質的差異は当初からあるのではないかとの意見が委員から出ました。しかし,そうした論文に対しても「査読」を実施し,書き直しを依頼している事例もあることから,明確に質的差異を認識することはできないだろうとされ,異なった扱いをすることは避けることにしました。

 次第に増えてきている《現場からの提言》については,それらの論文の背景から考えて「異なった視点」による評価が必要だろうとの指摘もありましたが,2007年度分については共通の評価視点を設定することができませんでした。来年度以降の課題として検討を加える予定です。

 こうした論議や検討を加えて6編を慎重に審査した結果,2007年度については「該当論文なし」という結論を得ました。

(この報告は『図書館界』60巻1号に掲載)