以下に掲載の事業計画案等は、2008年5月25日開催の本会評議員会で審議の結果、承認されました。

本ページには、『図書館界』60巻1号(2008.5)掲載の日本図書館研究会決算・予算・事業計画関連文書のうち、事業計画(案)と各役員による説明・呼びかけ文を掲載しています。決算・予算表等は省略していますので『界』と合わせてご覧ください。
事業計画(案) / 理事長 / 事務局長 / 編集委員会 / 研究委員会 / ブロックセミナー担当


2008年度事業計画(案)

日本図書館研究会理事会

〈研究活動〉1.『図書館界』第60巻1~6号の編集・発行
2.第50回研究大会,研究例会,特別研究例会の開催
3.ブロックセミナーの開催
4.上海市図書館学会との学術交流:第6回国際図書館学セミナーの開催(於:大阪)、論文の相互掲載
〈出版活動〉5.『図書館資料の目録と分類』の改訂
〈研究の奨励と会の拡大に関わる活動〉6.障害者会員への『図書館界』の点訳化
7.図書館研究奨励賞の授与
8.国際交流の推進
9.会員・研究グループの研究活動の助成
10,留学生への『図書館界』の無料頒布
11.会員および購読者の拡大
12.ホームページの維持と改良
〈選挙〉13.2009-2010年度役員選挙の実施〈その他〉14.その他本会の目的にそった事業


2008年度事業計画等の提案にあたって

理事長 川崎良孝

1

 ときどき外国からの図書館視察の仲介を依頼されるが,少しやり方を変えてみた。これまではいわゆる図書館見学という方式が多かったが,最近は事前に特に問いたいことをリストにして提出していただき,図書館見学に加えて,提出された課題への回答と意見交換を含めることにした。これはよかったと思っている。その場合,提出される質問に,「デジタル化によって,図書館への入館,活字資料の貸出が減少してはいないか」があった。欧米や東アジアからの見学団が,同じような質問をしてきたのは興味深いし,重要な問いだと思う。

 F. W. ランカスター『紙なし情報システム』(植村俊亮訳,共立出版,1984)の発表は1978年であったが,インターネットの普及に伴い,1990年代中葉には大学図書館を中心に「アクセスか所蔵か」(Access vs. Holding)という議論が生じるとともに,「図書館の終焉」,「見捨てられる図書館」といった種類の語句が盛んに出回った。ここでは,特に建物としての図書館が俎上にのせられた。こうした動きを1つの契機として,「場としての図書館」を歴史的,理論的,実践的に検討する論考が欧米で非常に増えている。これは単に建物としての図書館の考察や,館内配置を考えるのではない。一方では,社会のなかでの図書館の在り方,また一方では,個人の生活における図書館の在り方を研究することになる。「場としての図書館」の考察は,図書館の歴史的に果たしてきた役割,現代および将来の図書館の構想に直接結びつくものである。

 「場としての図書館」に関心を持つ研究者や実務家は多いが,前提として「デジタル図書館パラダイム」や「情報科学パラダイム」に批判的という共通点を有する。その場合,「場としての図書館」を擁護するのに,ある研究者は次のように述べているが,この種の主張は多い。

 物理的な図書館に,一群のコンピュータ,電子教室,遠隔学習室,特別プログラム用の設備,協同学習ラウンジ,複写センター,さらにはカフェや食堂,それに思索コーナーさえも備える。これらは図書館で価値が高まっている特徴的な部分である。

 この研究者は場としての図書館,物理的な図書館を熱心に擁護しているのだが,これだと図書館をコミュニティ・センターと変えてもおかしくはない。こうした設備や取り組みを過小評価するわけではないが,知的な分類システムで組織化されている物理的蔵書のブラウジングが,学術にとっても,住民の生活にとっても欠かせないことを,実践にもとづいて再確認,強調することが基本ではないだろうか。

2

 長期にわたる誌上討論「現代社会において公立図書館の果たすべき役割は何か」は,2007年度に一応完結しましたが,引き続き会員の皆さんのご意見をいただけるとうれしいです。

 本会は2006年度の図書館学セミナーで「教育基本法と図書館」を取り上げ,2007年度には上海市図書館学会との第5回国際図書館学セミナー(於:上海)で共通テーマ「図書館法」を設定し,研究大会ではシンポジウム「現今の教育法制の改変と図書館」を実施しました。本年度からは,『図書館界』60巻記念企画「構造的転換期にある図書館の法制度と政策」を掲載します。この編集委員会の企画は,図書館の法制度や政策をめぐる動向に焦点を当てることで,構造的変化の動態と内実を分析し,図書館が直面する理論的,実践的な課題を明らかにすることを目的としています。会員の積極的なご参加,ご発言を期待しています。

 また本年度は第6回国際図書館学セミナーが関西で開かれ,中国から発表者が来日します。テーマは「全域サービス:第一線の図書館サービスをめざして」です。日中双方の実情と直面する課題が率直に交換され,実りあるセミナーになるよう願っています。

 さらに今年度は隔年ごとに行われる役員選挙の年にあたっています。1人でも多くの会員が選挙に参加され,会員の権利を行使していただきたいと希望しています。

 以下に収めた事務局長および各委員長,担当からの提案説明,抱負と事業計画,予算案などの内容をご検討いただき,5月25日開催の評議員会(本会の実質的な最高議決機関)の審議に向けて,会員の皆さんが多くのご意見,ご提言をお寄せくださるよう期待しています。お寄せいただいたご意見は当日の討議資料として活用させていただきます。

(かわさき よしたか 京都大学)


事業計画・予算案の提案説明

事務局長 西村一夫

1.2007年度決算

 2007年度決算ですが,一般会計は会員数が減っており,繰越金も100万円になりました。特別会計は収入見込みより売上げが少なかったのですが,予定した支出がなかったこともあり,繰越金が増えています。以下,予算と大きく違っている項目を中心に説明します。  一般会計の「収入」では,「会費」が予算よりも約27万円少なくなっています。団体会員の会費が増えていますが,個人会員の会費納入が予算より約80人分少ないことによります。これは退会者が多く,入会者がそれに追いついていない状況があります。また,『図書館界』の売上げも予算より約9万円減っています。広告料は10万円の増額となりました。

 一方,「支出」では,「会合費」,「研究調査費」,「印刷費」などは例年少し余裕を持って組んでいます。「雑誌刊行費」については約12万円の増となりました。「研究助成費」については,ブロックセミナーは1件および研究大会などの経費です。ブロックセミナーは,年間2件程度を想定しています。最近開催していないブロックでの開催が期待されます。「国際交流費」は特段の事業がなかったことにより,未執行となっています。「組織強化費」は昨年未執行でしたが,今年度は会員募集パンフレットを作成しましたので,約5万円の増額となりました。

 特別会計ですが,『図書館資料の目録と分類』は150万円の予算にたいして100万円でした。昨年度はほぼ予算に近い金額でしたが,今年度はさらに少なくなりました。次回の改訂が待たれています。また,『本をどう選ぶか』は予算より約5万円売れましたが,『新・大学生と図書館』が50万円の予算に対して約12万円で,予想より販売数が伸びませんでした。『子どもの読書環境と図書館』は少なく見積もっていましたが,予想以上に売れました。『図書館の発展を求めて』は販売委託先からの入金が次年度になるため,予定より少なくなっています。一方,支出の方ですが,新たな刊行物がありませんでしたので,「会合費」「編集費」「印刷費」はいずれも未執行です。また,「上海市図書館学会との交流」では,上海で開かれた第5回国際図書館学セミナーの費用を支出しました。全体として繰越金は昨年より200万円多くなりました。

 第2特別会計,いわゆる「図書館研究奨励賞基金」は,奨励賞該当者がありませんでしたので,1,137万円の繰越となりました。

 このように財政面では一般会計が年々厳しい状況になっています。例年のことですが,個人会員数を減らさないことと,団体会員の継続が大事だと考えています。個人会員,団体会員の入会に向けて,会員の皆さんのご協力を,あらためてお願いしたいと思います。

2.2008年度事業計画案

 ここに提案する事業計画・予算案の審議と承認は評議員会(5月25日開催)の役割ですが,会員の皆さんの声を反映させたいと思いますので,本誌綴込のハガキや電子メール(アドレス:nittoken@ray.ocn.ne.jp @は半角で)等で事前に事務局まで,ぜひご意見をお寄せください。

 「研究活動」では,『図書館界』の年6回刊行,研究大会,ブロックセミナー,研究例会があります。ブロックセミナーは全国各地域で開催することを目指しております。昨年度は,北海道で行いました。年度内に2ヶ所程度は開催可能ですので,いままでに開催していない地域の評議員,会員の皆さまのお申し出をお待ちします。また,国際図書館学セミナーを大阪で開催する予定ですので,今年度の図書館学セミナーは開催しません。

 「出版活動」では,『図書館資料の目録と分類』の改訂が昨年はできませんでしたが,今年度は必ず実施する予定です。

 「研究の奨励と会の拡大に関わる活動」では,「留学生への『図書館界』の無料頒布」が8年目に入ります。これは,図書館研究の奨励と国際交流の一環として,日本で図書館情報学を学ぶ留学生に,1年間を単位にして『図書館界』を寄贈し,図書館研究や図書館の理解に役立ててもらうという趣旨です。詳しくは50ページを参照して下さい。

3.2008年度予算案

 一般会計予算案については,会費収入を昨年より少なく計上しています。もちろん新規の入会と継続して会に参加していただくことが大事ですので,この予算を上回ることを目指しています。広告料は昨年と同額です。昨年は予算を上回りましたが,今年度も新しい広告主を開拓する必要があります。

 支出については,昨年度の実績をもとに検討して計上しています。「研究調査費」と「雑誌刊行費」が増額となっています。これは『図書館界』60巻に特集「構造的転換期にある図書館の法制度と政策」を予定しており,50ページ程度増えることによるものです。「研究助成費」は,図書館学セミナーを開催しませんので減額しています。

 「特別会計」の収入の方では,『図書館資料の目録と分類』を昨年より50万円少なくして100万円にしました。また,『新・大学生と図書館』も10万円にしましたが,販売促進の工夫が必要です。『子どもの読書環境と図書館』に30万円,そして『図書館の発展を求めて』は100万円を計上しました。一方,支出の方では,「印刷費」として100万円を計上しました。これは『図書館資料の目録と分類』の改訂版の印刷を見込んだものです。さらに,今年度は第6回国際図書館学セミナーが大阪で開かれますので,「上海市図書館学会との交流費」として60万円を,また役員選挙の経費として60万円を計上しました。

4.事務局との連絡など

 財政を支えるのは会員皆さまの力です。引き続き会費の前納,会員拡大,資料販売等に皆さまのいっそうのご協力と積極的なご発言をお願いします。

 なお,事務局は毎週月・木曜日,午後1~5時に事務局員が常駐しておりますので,連絡はその時間帯にお願いします。ただし緊急の場合以外はなるべく文書,ファックス,電子メールでご連絡ください。

(にしむら かずお 松原市民図書館)


図書館界と『図書館界』の活性化のために

編集委員長 松井純子

 『図書館界』の編集を担当して早や3年が過ぎました。その間,会員の皆さまの多様なニーズに応えつつ,より充実した誌面づくりとメディアとしての意義の向上を念頭に,編集に励んでまいりました。2008年度もその方針は変わりませんが,団塊の世代の大量退職やアウトソーシングなど,関西に限らず図書館界全体の活気が低下しつつある中で,活性化につながる誌面づくりを,これまで以上に心がけていきたいと思います。

(1)『図書館界』60巻記念企画「構造的転換期にある図書館の法制度と政策」を連載します。

 『界』は今年ちょうど60巻を迎えます。日本の図書館界は「構造的転換期」とも呼びうる大きな変革の只中にありますが,さまざまに生じている変化とその内面を,法律や制度・政策面に焦点を当てて分析し論じていこうとするのが,この企画の主旨です。「戦後60年」から3年目の現在,日本の図書館界の「今」を描き出し,課題を明らかにしたいと思います。また,諸外国の動向も一部取り上げます。

 60巻1号~6号にわたり,10本以上の論稿を連載する予定です。(ただし,2号は研究大会特集号のため除きます。)読者の皆さまのご意見・ご感想をお寄せいただきますようお願いします。

(2)『図書館界』の基本は,投稿論文と《現場からの提言》です。

 日図研は,公共図書館・大学図書館・学校図書館などの現場におられる図書館員を中心に,図書館情報学の教員や研究者と,市民の立場から図書館に関わっておられる方々などで構成される団体です。したがって『界』の内容も,これらの皆さまのニーズを反映したものでなくてはなりません。

 投稿論文は,学術的な意義を備えた研究成果を発表していただく場ですが,歴史や教育・技術などの理論的な研究とともに,サービスや利用者,制度や政策など,日々の実践や実態にもとづいた研究成果も重要と考えています。

 図書館の現場では多々悩みがあります。しかし,いろんな人の話や文献から刺激を受けて,工夫してみることも多いと思います。自分だけで抱え込まず,工夫したことを何かの形で発表したり,活字に残すだけで,多くの人に励ましや活力を与えることができるのではないでしょうか。《現場からの提言》は,そうした図書館員たちの工夫や問題意識を形にする場です。積極的にご投稿下さい。

(3) 書評・新刊紹介にも力を入れます。

 皆さま,お気付きでしょうか。2007年度は従来よりも《書評・新刊紹介》の記事が増えたことを。2006年度は《書評・新刊紹介》として13本を掲載しましたが,2007年度は実に22本にも上りました。

 2008年度もこのように,できるだけ多くの図書を取り上げていきます。また,「ぜひこの人に書いてほしい」と思う方に書評を依頼していきます。

 投稿も受け付けております。また「この本を取り上げてほしい」という要望も,ぜひお寄せ下さい。

(4)『図書館界』59巻1号~6号についてご報告

 2007年度は,主に以下の記事を掲載しました。発行にご協力いただいた執筆者の皆さまには,心から御礼申し上げます。

 投稿論文6,現場からの提言5,第48回研究大会グループ研究発表7,同シンポジウム5(討議含む),誌上討論「現代社会において公立図書館の果たすべき役割は何か」5,図書館学セミナー「多文化社会の図書館サービス」5(討議含む),特別研究例会「教育改革と学校図書館」1,書評12,新刊紹介10,エコー1

 なお,会員数の減少に伴い,投稿その他執筆者の顔ぶれが,ややもすれば固定化しがちです。できるだけ幅広い方々のニーズや意見を反映させるため,編集委員会としても,多様な方々に投稿や執筆をお願いいたします。

(まつい じゅんこ 大阪芸術大学)


研究委員会の事業とモットー

研究委員長 志保田務

 研究委員長を1期の半分(2007年度)お引き受けして,これが大変な仕事であると知りました。研究委員は委嘱制ですが,就任希望や推薦等があれば,研究委員会までお伝え下さるようお願いします。皆さまのご協力ご指導が必要不可欠です。

 研究委員会は,本会会員の研究・活動の場,発表の場として下記の事業を行っています。

(1)グループ研究活動への助成

 この助成は,固有のテーマをもって研究活動をし,研究大会に研究成果を報告する7名以上の会員で構成されるグループに対して行われます。各グループからの研究計画の提出を受け,本委員会で審査し,理事会承認を得て,1グループ原則年3万円を助成します。2009年度に始まる2年間の助成については,本誌60巻5号または6号で募集を案内します。研究グループには本誌での活動報告が求められます。

(2)第50回[記念]研究大会の開催

 2009年2月あるいは3月の土・日,日・月のいずれかで,足場がよく,暖房設備のよい会場を借りて開く予定です。[1日目]個人と研究グループの研究発表,[2日目]シンポジウムという構成です。

 個人発表は,グループ外での発表を希望する個人会員のための舞台です。2名程度と人数に限度があり,応募には査読・期限厳守などの絶対条件がありますが,奮って挙手して下さるようお願いします。研究グループは,助成金受給上,研究発表が義務付けられています。発表の都合がつかない場合,本誌へ論文を編集委員会が掌握する枠に従って提出していただけます。

 シンポジウムは,図書館振興等重要なテーマを多角的に論議する場とします。シンポジウムのテーマに適した案をお持ちの方はご提案下さい。

 本年度は『界』60巻3号(9月)に個人発表の募集要項を掲載,4号(11月)に大会次第を予告し,5号(2009年1月)で正式にご案内します。

(3)研究例会・特別研究例会の開催

 日常的な研究・活動報告の場です。年間7回程度開催し,本誌に発表内容を記録します。すでに250回を超えて開催しています。お気軽に発表の意志をお聞かせ下さい。本誌上で予告します。なお研究グループは,研究大会での発表ができない場合,研究例会での発表をもって代えることができます。

 特別研究例会を,評議員会開催日の午前中に行います。本年度は,本号別掲(p.51)のように5月25日(日),京大会館で開きます。

(4)図書館学セミナーの開催

 本年は,日本で開催される上海図書館学会との国際図書館学セミナー(11月10(月)~11日(火),別掲)に集中するため,これと別個の開催はしません。

(5)本年度のモットー

 モットーは,[研究]と[実践]を両睨みに,「査読誌」にふさわしい質を備えるよう図ることです。そのため,編集委員会等との連携を図っていきたいと思います。また,研究大会等でのアンケートの意見を活かすよう努めたいと考えています。研究グループの発表の活性化を図り,活動報告の明確化を求めていくこととします。

 なお,研究大会・セミナーなどの会場探し,会場費,近場から講師を得ることに,いささかの困難を覚えています。会員の所属される大学等で会場提供の可能性をお持ちの場合や,隠れた才能をご承知の方は,お申し出いただきますよう心からお願いします。

(しほた つとむ 桃山学院大学)


ブロックセミナーの企画をお待ちしています

ブロックセミナー担当 竹島昭雄、北克一、呑海沙織

 ブロックセミナーは,各ブロックの会員からの申し出によって開催されます。申し出のあった会員の意向(開催地・テーマ・講師など)は最大限に尊重します。また,経費は原則として全額を日本図書館研究会が負担します。

 本会の諸研究活動は,京阪神を中心に開催される場合がほとんどであるため,ブロックセミナーは会員の最も身近なセミナーとなります。
 皆さんからの積極的な企画をお待ちしています。なお,連絡先は下記のとおりです。(→ 連絡先等)。

(たけしま あきお 栗東市立図書館)
(きた かついち 大阪市立大学)
(どんかい さおり 京都大学医学図書館)


過去の事業計画等