2010年度 九州ブロックセミナー報告

日本図書館研究会 九州ブロックセミナー報告


日 時:2010年9月6日(月)13:30~17:40会 場:沖縄国際大学図書館AVホールテーマ:「学校図書館・学校司書の可能性」講 師:五十嵐絹子氏(学校図書館アドバイザー,元・鶴岡市立朝暘第一小学校司書)パネラー:高木 享子氏(日本図書館研究会理事)
喜納志穂子氏(那覇市立石嶺中学校司書)
座間味利美子氏(うるま市立具志川東中学校司書)
野里 純氏(那覇市立真嘉比小学校司書)
望月 道浩氏(琉球大学教育学部准教授)
総合司会:呉屋美奈子氏(沖縄国際大学非常勤)

報告

 2010年9月6日(月),日本図書館研究会(以下,日図研)の主催により,「九州ブロックセミナー-学校図書館・学校司書の可能性」が開催されました。諸事情により,「読書月間中」の平日の開催となりましたが,参加者は130名にも上り,座席が足りなくなるほどの大盛況となりました。

 本セミナーでは,はじめに,ブロックセミナー担当理事である高木享子氏と九州地区会員である白根一夫氏から日図研の活動内容やブロックセミナーの趣旨などをご説明頂きました。その後,総合司会の呉屋美奈子氏による講師紹介を経て,「第1部」として,五十嵐絹子氏の講演「学校司書だからできること,しなければならないこと-図書館の活用を全校に広げるために」が行われました。講演では,朝暘第一小学校での五十嵐氏の実践をもとに,学校司書の役割について,読書のこと,授業での図書館活用のことなど,幅広い視点からお話頂きました。沖縄県は他府県に先駆けて小中学校にも専門・専任の担当者を配置してきたことから,「人の配置」という点では他府県よりも恵まれた環境にあります。しかし,最近では正規職員の退職後に非正規職員を充てる地域も増えています。学校図書館の環境整備,不読者への働きかけ,単元別参考図書リストの作成,教員・保護者向けの図書館だよりの発行,司書教諭との連携など,五十嵐氏が実践されたことを学校司書,または非正規職員という立場で実践することは難しいという声もあるかもしれませんが,五十嵐氏は,自身もかつては非正規雇用であったことに言及しながら,講演の最後に,「自分を差別する人は他人も差別する。“正規職員じゃないから”,“学校司書ごときが”,と自分を差別してはいけない」と述べられました。参加者の大半は県内の学校司書の方々でした。沖縄の学校図書館界への励ましとして,各自の胸に届く力強いメッセージだったように思います。

 「第2部」では,五十嵐氏とともに語り合う座談会形式のディスカッションを実施しました。五十嵐氏の他に,日図研から¥外字(8a2c)木享子氏,沖縄県の小中学校図書館から喜納志穂子氏,座間味利美子氏,野里純氏にもご登壇いただき,琉球大学教育学部望月道浩氏の司会の下で,県内の学校図書館が抱える問題点について,「中学校での学校図書館活用アプローチ」「新学習指導要領・ゆとり教育見直しの影響」「学校司書と司書教諭の職務の区分」「学校司書の非正規化問題を前に取り組むべきこと」という4つの柱を立てて議論しました。座談会の詳細については,『沖縄県図書館協会誌』第14号(2010年12月刊)に掲載しておりますが,五十嵐氏がこれまでに取り組まれてきた先進的な図書館活用教育を沖縄県内でどのように形にしていくか,ということを現場の方々や市民の方々とともに広く語り合うことができたことは,大変有意義であったと感じております。

 本セミナーの開催に際しては,沖縄での初めての開催ということもあり,企画調整の段階から,西村一夫事務局長,竹島昭雄理事,高木理事,九州ブロック評議員である永利和則氏,種村エイ子氏など,様々な方々に多大なるご尽力,ご協力を賜りました。また,事前の広報活動や当日の運営では,沖縄県図書館協会調査研究部会の皆様や沖縄国際大学司書・司書教諭課程の学生スタッフにも多大なるご協力を頂きました。誌上ではありますが,皆様に深くお礼申し上げます。

 本セミナーの意義をさらに深いものとするためには,セミナーを通じて各自が受けた「刺激」を一時的なもので終わらせてはならないとも感じております。沖縄県内の学校図書館研究がさらに活発に展開されるよう,本セミナーの成果を定期的な研究会・勉強会の開催などにつなげていきたいと考えております。

(文責:山口真也 沖縄国際大学)