以下に掲載の事業計画案等は、2012年5月27日開催の本会評議員会で承認されました。

本ページには、『図書館界』64巻1号(2012.5)掲載の日本図書館研究会決算・予算・事業計画関連文書のうち、事業計画(案)と各役員による説明・呼びかけ文を掲載しています。決算・予算表等は省略していますので『界』と合わせてご覧ください。
事業計画(案) / 理事長 / 事務局長 / 編集委員会 / 研究委員会 / ブロックセミナー担当


2012年度事業計画(案)

日本図書館研究会理事会

〈研究活動〉1.『図書館界』第64巻1~6号の編集・発行
2.第54回研究大会,図書館学セミナー,研究例会,特別研究例会の開催
3.ブロックセミナーの開催
4.上海市図書館学会との学術交流,論文の相互掲載
〈研究の奨励と会の拡大に関わる活動〉5.障害者会員への対応
6.図書館研究奨励賞の授与
7.国際交流の推進
8.会員・研究グループの研究活動の助成
9,留学生への『図書館界』の無料頒布
10.会員および購読者の拡大
11. ホームページの維持と改良
〈選挙〉12.2013-2014年度役員選挙の実施〈その他〉13.その他本会の目的にそった事業


2012年度事業計画等の提案にあたって

理事長 川崎良孝

1

 2月の研究大会は東日本大震災がテーマでした。そのとき,遺体の身元確認が図書館で借りた本でしかできない場合があり,その点で図書館は役立ったという趣旨の報告がありました。これについて進行役が図書館の自由に関わる問題と捉えて,問題を提起しましたが,論議にはなりませんでした。

 この話を聞いて思い出したことがあります。2001年9月11日の同時多発テロ事件に関係して,フロリダ州デルレイビーチ(Delray Beach)の公立図書館長はハイジャックの被疑者が自館のコンピュータを用いていたことに気づき,ただちに警察に通報しました。これは図書館記録の秘密性を保護するフロリダ州法,それに利用者のプライヴァシーを守るという図書館の原則に違反するものでした。図書館長は州法と専門職上の責任を理解していましたが,警察への通報に躊躇せず,「テロリストが当館で利用者用コンピュータを使っていたことを,国民は知る権利を有する」と述べました。結局,連邦捜査局がコンピュータを押収し,電子メールの分析をしたのです。アメリカ図書館協会知的自由部長J. F.クラグ(J. F. Krug)は,「同じ状況に直面すれば,大多数の人は同じように行動すると思う」と述べ,非難しませんでした。明らかにクラグは,社会状況や世論を意識せざるをえなかったのです。(“Competing Principles Leave Some Professionals Debating Responsibility to Government,” New York Times, November 23, 2001.)

 アメリカ図書館協会は,合衆国愛国者法を受けて2011年12月10日に広報部が声明を発表しました。そこでは図書館記録の秘密性や利用者のプライヴァシーの保護を訴えています。また秘密性に関する州法に従うことを求めています。しかし最後に「アメリカ図書館協会はデルレイビーチの事件に関与しない。また図書館長……を非難も譴責もしない」という一文が付け加えられています。(“ALA Statement on Confidentiality and Privacy of Library Records,” Newsletter on Intellectual Freedom, March 2002, p.67.)

 クラグの婉曲な態度や広報部のただし書きは,プライヴァシーや秘密性の問題が,原則に固執するだけでは対応できない場合があること,とりわけ社会の期待と結びついていることを示しています。

2

 昨年の「2011年度事業計画等の提案にあたって」では,「一般会計は全体として単年度の収支がまずまず均衡がとれている」と記すと同時に,「理事会としては基本的に赤字の構造と把握し」努力を継続しますと書きました。引き続き,会員全体に直接関わる部分,すなわち,会費,『界』の頁数,ブロックセミナー,大会,セミナーなどには手をつけないという方針は継続したいと思います。これまでに『界』印刷費,理事会などの費用,原稿料などの削減を行ってきましたが,今後も経費削減に努めたいと思います。また旧来の定型化された方式を検討する余地もあると思っています。

 とりわけ会員数については,本会の財政というよりも,むしろ全体としての本会の研究の力量に関わるものとして重要で,引き続き会員の皆さまには,入会の勧誘をお願いしたいと思います。

 以下に収めた事務局長および各委員長,担当からの提案説明,抱負と事業計画,予算案などの内容をご検討いただき,5月27日開催の評議員会(本会の実質的な最高議決機関)の審議に向けて,会員の皆さんが多くのご意見,ご提言をお寄せくださるよう期待しています。お寄せいただいたご意見は,当日の討議資料として活用させていただきます。

(かわさき よしたか 京都大学)


事業計画・予算案の提案説明

事務局長 前田章夫

1.2011年度決算

 2011年度決算は,会員数の減少などに伴い,厳しい状態が続いていますが,経費の節減に努めたこともあり,一般会計は繰越金が18万5千円ほどの減少にとどまり,収支ほぼ均衡の取れた状態になっています。特別会計は出版物の売り上げが伸びたことにより繰越金は増えました。

 以下,予算と大きく違っている項目を中心に説明します。

 一般会計の〈収入〉では,「会費」が予算よりも2万円近く上回りました。個人会員の会費収入は予算に届きませんでしたが,団体会員の会費納入が予算より若干増えたことによります。なお,東日本大震災被災会員への会費免除については,個人会員3名から申し出があり免除しました。また2011年度から発足した学生会員は4名から申請がありました。

 会誌『図書館界』の売り上げは予算を21万円ほど上回りました。また広告料も何とか予算を上回りましたが,厳しさは増しており,引き続き努力をしたいと思います。さらに「雑収入」については,事務所使用料が大きく増えたことや,新たに始まったCiNii使用料などにより予算を大きく上回りました。
 一方,〈支出〉に関しては,節減に努めた結果「交通費」「研究助成費」など予算額を大きく下回ることができました。「研究助成費」については,ブロックセミナーの開催にあたり,地元で会場費等の経費の節減に努めていただいた結果です。「国際交流費」は特段の事業がなかったため支出はありませんでした。ただ「雑誌刊行費」については『図書館界』の原稿が増えたことにより,予算を大幅に超えました。

 特別会計については,『図書館資料の目録と分類』が150万円の予算に対して176万円と増訂第4版になり好調に売り上げを伸ばしています。ただ,『本をどう選ぶか』,『公共図書館の役割を考える』,『新・大学生と図書館』,『子どもの読書環境と図書館』など,旧刊分はいずれも低調でした。『図書館の発展を求めて』は販売委託先からの入金が滞っており予算を下回っています。『構造的転換期にある図書館』『図書館・図書館学の発展』については順調に売り上げが伸びています。
 〈支出〉については新たな出版物がなかったため,定額の「事務局費」を除き予算を下回り,全体として次年度繰越金が増えました。なお,東日本大震災被災図書館への支援として義援金50万円を「予備費」から支出し,日本図書館協会を通じて送りました。

 第2特別会計,いわゆる「図書館研究奨励賞基金」は,2011年度授賞者が2名あり,奨励賞副賞20万円を支出しました。また昨年度の評議員会で指摘された「事務費」を項目としてたてました。次年度への繰越額は1,140万円と少し減少しました。

 このように財政面では,一般会計の厳しさが年々増しています。例年のことですが,個人会員数を減らさないこと,団体会員の継続・拡大が大事だと考えています。個人会員,団体会員の入会に向けて,会員の皆さんのご協力を,引き続きお願いしたいと思います。

2.2012年度事業計画案

 ここに提案する事業計画・予算案の審議と承認は評議員会(5月27日開催)の役割ですが,会員の皆さんの声を反映させたいと思いますので,電子メール(アドレス:nittoken@ray.ocn.ne.jp)等で事前に事務局まで,ぜひご意見をお寄せください。

 「研究活動」では,『図書館界』の年6回刊行,研究大会,図書館学セミナー,ブロックセミナー,研究例会があります。ブロックセミナーは全国各地で開催することを目指しております。2011年度は徳島県で実施しました。2012年度も2ヶ所程度は開催したいと思いますので,評議員,会員の皆さまのお申し出をお待ちしています。なお,2011年度は第8回国際図書館学セミナーが開催されたため,図書館学セミナーは開催されませんでしたが,2012年度は国際図書館学セミナーがお休みの年度となり,代わりに図書館学セミナーの開催となります。

 「研究の奨励と会の拡大に関わる活動」では,「留学生への『図書館界』の無料頒布」が12年目に入ります。これは,図書館研究の奨励と国際交流の一環として,日本で図書館情報学を学ぶ留学生に,1年間を単位にして『図書館界』を寄贈し,図書館研究や図書館の理解に役立ててもらうという趣旨です。詳しくは69ページを参照して下さい。

 2012年度には役員選挙があります。会員の皆さんのご協力をお願いします。

3.2012年度予算案

 一般会計の「会費」収入については,学生会員を実態に合わせて減らすとともに,団体会員についても減額計上しました。もちろん新規の入会者を増やすことと継続して会に参加していただくことにより,11年度なみの収入を目指しています。広告料につきましても実態に合わせて40万円に減額しました。出版不況に伴い広告元が減っていますが,これについても新たな広告元の獲得に向けて努力します。
 支出については,研究活動の停滞を引き起こさないよう配慮しながら,2011年度の実績を基に,節約できるものを再吟味して計上しています。「研究助成費」については,図書館学セミナー開催年にあたるため手当てしています。また2011年度大幅に予算を超過した「雑誌刊行費」については,前年度実績も考慮して若干増額しました。「研究調査費」「事務局費」などを減額しました。予算規模としては2011年度に比べ34万円ほど圧縮しました。

 特別会計の〈収入〉では,『図書館資料の目録と分類』については昨年と同様に150万円計上しました。他の出版物については,最近の売り上げ,在庫数なども考慮して全体的に減額しました。
 一方,〈支出〉の方では,2012年度は国際図書館学セミナーのお休みの年であることから,「上海図書館学会との交流費」を10万円に減額しています。

 第2特別会計につきましては,奨励賞対象者を1名として計上しています。

4.事務局との連絡など

 財政を支えるのは会員皆様の力です。引き続き会費の前納,会員拡大,資料販売等に皆様のいっそうのご協力と積極的なご発言をお願いいたします。
 なお,事務局は毎週月・木曜日,午後1~5時に事務局員が常駐しておりますので,連絡はその時間帯にお願いします。ただし緊急の場合以外はなるべく文書,ファックス,電子メールでご連絡ください。

(まえだ あきお)


豊かな『図書館界』をめざして

編集委員長 渡邊隆弘

 『図書館界』編集委員長を拝命して1年,任期後半の2012年度は64巻1~6号をお届けの予定です。会員のみなさまのお力をお借りしながら,伝統ある『界』を引き継いでいきたいと考えています。

 以下,本年度の計画等を申し述べます。

(1)連載企画「図書館実践(サービス)の最前線」

  様々な図書館現場の「実践」に焦点をあて,それによって足下から図書館を考え直すことを目指す連載特集を,63巻3号(2011.9)から開始し,63巻6号までに計7本の寄稿を掲載しました。本連載は2012年度いっぱい続ける予定で,64巻2号(7月:研究大会特集号)を除く各号に,計10本程度の論稿を掲載していきます。いま多くの図書館現場は厳しい状況に置かれていますが,そんな中でも創意工夫と熱意にあふれた豊かな実践が行われていることをお伝えできればと思っています。

(2)《論文》と《現場からの提言》

  特集にも力を入れていますが,『界』の一番の中心は,やはり会員の皆さんからの投稿論文です。学術的な《論文》と,より実践的な報告・提言という位置づけの《現場からの提言》という2つの枠で運営しています。2011年度の63巻では《論文》5本と,《現場からの提言》2本を掲載しました。審査(査読)によって掲載にいたらなかった投稿もあり,例年に比べるとやや少なめの掲載数でした。
 会員の皆さんの積極的なご投稿を期待いたします。

(3)書評・新刊紹介

 63巻では《書評》17本,《新刊紹介》8本の計25本を掲載しました。近年図書館関係の図書出版が増えている状況もありますが,今後も積極的に掲載していきたいと考えています。書評・新刊紹介の依頼にあたっては,若手の書き手,多様な書き手の発掘も意識していきます。

(4)総目次・総索引とオープンアクセス

 本号p.69の通り,2011年度分より冊子体における総目次・総索引を取りやめ,ホームページ上での掲載に移行しました。CiNii Articles(国立情報学研究所)を通じた電子化,オープンアクセス(刊行後2年経過分)と合わせ,冊子体とウェブ媒体をうまく組み合わせた,より利便性の高い情報提供に取り組んでいきます。

 その他,研究大会特集号や図書館学セミナー報告などは例年通り掲載の予定です。
引き続き,会員・読者のみなさまのご協力をお願い申し上げます。

(わたなべ たかひろ 帝塚山学院大学)


新鮮な研究発表を期待します

研究委員長 志保田務

 研究委員会は,下記の事業を例年行います。

(1)研究大会・図書館学セミナー

 去る2月,第53回研究大会を兵庫県中央労働センターで開催し,多くのご参加を得ることができました。シンポジウムでは「東日本大災害と図書館」をテーマとし,真摯な検討がなされました。
 本年度は2013年2月下旬を目処に京都地区で開催予定です。初日は個人・グループの研究発表です。個人発表の募集要項は本巻3号(9月)に掲示します。新進(年齢を問いません)のご発表をお待ちしています。精選された予稿集掲載を何らかの成果に転ずるよう,理事会等に諮れないかを検討します。奮ってご応募下さい。研究グループ発表に関する連絡は9月中にメールで行いますが,近年,発表申込や予稿集原稿の提出に遅滞・欠落があります。早めにテーマを決定し,発表内容を固める準備をお願いします。また発表時間にそぐわない大量の予稿を提出するグループがあり困惑しています。2日目はシンポジウムです。時宜にテーマをご提案下さると幸いです。大会次第は本巻4号(11月)に予告します。

 図書館学セミナーを,11月中旬に国立国会図書館関西館で開催します。本巻2号(7月)に予告,3号(9月)に次第を公示します。当方では,国立国会図書館関西館10周年とコラボできるテーマを探っています。

 研究大会・セミナーの会場(費)に窮しています。会員のご所属大学等で,無料(更に援助金給付)の会場提供の可能性があればご協力下さい。

2012年度2013年度2014年度
研究大会京都大阪兵庫
セミナーNDL関西館兵庫(休催)

(2)研究例会・特別研究例会

 日常的な研究発表の場です。本研究会HPに掲載の担当研究委員にお申し出下さい。月1回弱開催し,発表内容を本誌に記録します。なお研究グループは上記研究大会での発表義務がありますが,この研究例会での発表で,この義務を果たすことができます。既に決まっているところは下記のとおりです。

  • 289回 伊藤昭治氏(特別研究例会:本号p.35参照)
  • 290回 渡邉斉志氏(本号p.50参照)

291回以降は,「刑務所図書館」,「著作権法改正」,「大図書館における電子書籍貸出」,「図書館職」,「読書調査」,「学校図書館」などのテーマを予定しています(8,11,2月は休み)。
 特別研究例会を5月27日(日)評議員会前の午前中に持ちます。本号p.35をご参照下さい。

(3)グループ研究への助成

 固有のテーマをもって研究活動をし,研究大会に研究発表するグループ(7名以上の会員で構成)に対して,原則年3万円を各助成しています。新しいグループの誕生も期待しています。各グループからの研究計画の提出を受け,本委員会で審査し,理事会承認を得て2013年度に始まる2年間の助成計画を展開します。ただ別掲のような財政不良で,増額申請をそのまま承ることができません。ご理解をお願いする運びとなります。なお助成申請は2年単位ですが,本年度は次期の申請手続きをしていただく廻りとなっています。本誌第5号(1月)で公示します。継続の研究グループも手続きされる必要があります。応募期限が守られないことがありますが,厳守されるようお願いします。関係記事をHP上に常掲載し,問い合わせ先(担当理事)を決定します。 当委員会では研究活動に興味をお持ちの方の委員会参加を求めています。加えて,大学図書館から若手を募集します。ご応募下さるようお願いします。

(しほた つとむ 桃山学院大学)


ブロックセミナーの企画をお待ちしています

ブロックセミナー担当 竹島昭雄、高木享子

 ブロックセミナーは,各ブロックの会員からの申し出によって開催されます。申し出のあった会員の意向(開催地・テーマ・講師など)は最大限に尊重します。また,経費は原則として全額を日本図書館研究会が負担します。

 本会の諸研究活動は,京阪神を中心に開催される場合がほとんどであるため,ブロックセミナーは会員の最も身近なセミナーとなります。
 みなさんからの積極的な企画をお待ちしています。なお,連絡先は下記のとおりです。(→ 連絡先等)。

(たけしま あきお 京都精華大学)
(たかぎ きょうこ)


過去の事業計画等