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日本図書館研究会 九州ブロックセミナー報告


日 時:
2008年6月29日(日)10:30〜16:00
会 場:
宮崎県立図書館
講 師:
塩見 昇氏(日本図書館研究会前理事長・日本図書館協会理事長)
北村幸子氏(学校図書館を考える会・近畿代表)
テーマ:
「学校図書館の今日的課題と求められるあり方」

報告

 2008年6月29日(日)午前10時30分から午後4時まで宮崎県立図書館で開催された九州ブロックセミナーには,九州各県から行政・学校・公共図書館・大学の関係者,ボランティア,市民など100名を越す参加者がありました。

 まず,竹島昭雄理事が主催者としてあいさつをしました。今回の研修会のテーマには,「学校図書館の今日的課題と求められるあり方」を取り上げ,特に,教育基本法改正に伴い学校教育法や学習指導要領の改正と教育振興基本計画や第2次子どもの読書活動推進基本計画の策定を論点に踏まえて,塩見昇さんと北村幸子さんのお二人に講演と質疑応答をしていただきました。

 午前中は,日本図書館研究会前理事長で日本図書館協会理事長の塩見昇さんが「学校図書館の今日的課題」と題し,講演をされました。教育基本法の改定を含めた一連の教育制度改革の急激な動きを概観した後,学校図書館法改正当時の様子と10年たった今日の現状を説明されました。また,学校図書館の備える教育力を資料や人など7つの点から指摘された上で,日常の充実した図書館サービスの存在や教師の豊かな図書館利用体験などが教育力を活かす要件であり,学校図書館の今日的課題を解決すると述べられました。最後に,司書教諭と学校司書の2職併置が貧しくとも常態化しつつある中で,両者の協働の必要性を訴えている現場の声を紹介されました。

 昼食後は,宮崎県立図書館の紹介ビデオの上映があり,参加者が見入っていました。

 午後の前半は,「学校図書館を考える会・近畿」の代表で学校司書のご経験をお持ちの北村幸子さんが,羽曳野市の小学校での実践を通した講演をされました。「学校図書館を考える会・近畿」の活動にも軽く触れられながら,現今の教育改革の中で,「教育に欠くことのできない」学校図書館となるにはどうすればよいかという視点で話されました。その中で,生涯学習社会での図書館の再認識と図書館活用の「力」を学校図書館で育む大切さを述べられました。

 午後の後半は,塩見さんと北村さんへの質問や意見を会場からいただき,それに答えてもらう形で進みました。司書教諭と学校司書のそれぞれの役割や学校図書館法成立当時の様子などについて興味深いお話をしていただきました。

 今回,参加者の内53名からアンケートの回答をいただきましたが,ほとんどが「大変良かった」「良かった」という結果でした。自由意見では,「どちらの先生のお話も具体的でわかりやすく,時間があっという間にすぎてしまった」「学校図書館が支援する方向と公共図書館の連携がよくわかった」「基礎学習で図書館を使える事の大切さを痛感した」「もっと具体的な現場の悩みや各県の状況が語られるとよかった」など多くの方から意見をいただきました。

 最後になりましたが,当日の会場の設営・提供及び事前のPRや申込等に全面的なご協力をいただきました宮崎県立図書館,宮崎市教育委員会,宮崎市立図書館の職員並びに宮崎子どもと本を考えるネットワークの会員のみなさんに感謝を申し上げます。

(文責:永利和則 小郡市立図書館・九州ブロック評議員)